梅毒とは
梅毒は、かつて不治の病として知られていた病気で、梅毒トレポネーマという病原体が原因で発症します。ペニシリンなどの抗生物質で治療を行いますが、抗生物質がなかった時代には治療ができず、恐れられてきた感染症です。近年では抗菌剤による早期治療によって治せるため、それほど恐れられなくなりましたが、若い女性の感染が増加していることが問題となっています。梅毒の感染経路は、主に粘膜や皮膚との接触のため、性行為だけでなく、オーラルセックスやキスでも感染する可能性があります。
1回の性行為における梅毒の感染率は、20%以上とされており、感染率が高い病気です。妊婦が感染すると、胎盤(たいばん)を通って胎児に感染してしまい、先天性梅毒を発症(はっしょう)する危険性があります。感染はコンドームの着用で防げますが、病変部が性器以外にある場合は、コンドームを使用するだけでは感染を完全に予防することはできません。「梅毒は昔の病気」というイメージを持たれる方が多いですが、最近では若い女性の間で流行しています。心斎橋駅前婦人科クリニックでは、梅毒検査が可能なため、症状がある患者さんや心配がある方は、診察時にご相談ください。
梅毒の潜伏期間・症状
梅毒は段階的に症状が出現する
梅毒は感染しても数週間ほどの潜伏期間があり、3週間・3ヵ月・3年がポイントとなって、第1期・第2期・第3期・第4期と症状が段階ごとに変化していきます。梅毒に感染すると、陰部周辺だけではなく、全身の皮膚にできものができます。初期症状は無症状または軽度の場合がありますが、重症の場合は命に関わる病気に至る危険性もあります。梅毒は早期発見・早期治療で完治するため、検査を定期的に受けることをおすすめします。
心斎橋駅前婦人科クリニックでは、プライバシーに配慮し、女性特有のお悩みについて、安心してご相談いただけるように努めております。お身体に異変を感じられましたら、お気軽にご相談ください。
第1期梅毒(感染から約3週間後)
梅毒の第1期の症状は下記の通りです。主に3つの症状が見られます。症状は2〜3週間ほどで自然消失するため、梅毒に感染したことに気づかないケースも多いです。
初期硬結 |
梅毒感染部位に、小豆(あずき)〜小指(こゆび)程度の大きさのしこりができます。軟骨ほどの硬さで、しこりの中心部は硬く盛り上がっています。痛みを感じる場合と、感じない場合があり、ニキビと勘違いすることもあります。男性の場合、陰茎・性器周辺の皮膚・亀頭・亀頭と陰茎の間(冠状溝:かんじょうこう)などに症状が見られることが多く、女性の場合、小陰唇・大陰唇・腟の中(子宮頚部)に症状が現れることが多いです。男女ともに、口腔粘膜・咽頭(いんとう)粘膜に症状が見られることもあります。 |
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リンパ節の腫れ |
鼠径部(そけいぶ)・首部など、リンパ節が硬く腫れます。痛みなどはなく、時間が経つと消失します。 |
硬性下疳 ※こうせいげかん |
梅毒感染部位に、浅い潰瘍(かいよう)が生じます。男性の場合、性器周辺の皮膚・亀頭・陰茎・亀頭と陰茎の間に潰瘍が現れます。女性の場合、小陰唇・大陰唇などの皮膚・腟の中などに潰瘍が生じます。また、男女共通して、口腔粘膜・咽頭粘膜にも症状が見られることもあります。 |
第2期梅毒(感染から約3ヵ月後)
梅毒の第2期の症状は下記の通りです。症状は3ヵ月〜3年ほど続き、そのあと無症状となります。
梅毒性乾癬 ※ばいどくせいかんせん |
赤茶色の発疹(濡れたブツブツ)が、手のひら・足の裏に現れます。発疹には銀白色のフケに似たものがついており、かゆい・痛いといった症状はありません。 |
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丘疹性梅毒疹 ※きゅしんせいばいどく |
赤茶色の小豆〜えんどう豆程度の大きさの盛り上がり(隆起)ができます。男女とも同じ部位(手のひら・足の裏・腕・脚・腹部・背中など)に生じます。 |
梅毒性バラ疹 |
バラの花びらに似た、ピンク色の円形の湿疹が、体幹・顔・手足に現れます。かゆみ・痛みはありません。 |
膿疱性梅毒 ※のうほうせいばいどく |
手の甲・足の甲・顔・四肢のほか、体幹を中心にして、膿を含むイボが現れます。全身症状が悪い場合・免疫力が低下している場合に見られることが多いです。 |
扁平コンジローマ ※へんぺいこんじろーま |
ピンク色〜薄い灰色の扁平状のイボが、性器・肛門周辺に現れます。病原体である梅毒トレポマーレが多く存在しているため、感染源になっている可能性が高いと考えられます。 |
梅毒性白斑 ※ばいどくせいはくはん |
色素細胞が障害され、皮膚の一部・複数が白くなります。 |
梅毒性爪炎・爪囲炎 ※ばいどくせいそうえん そういえん |
手足の爪・周辺部位が赤くはれます。 |
梅毒性粘膜疹 ※ばいどくせいねんまくしん |
口腔内粘膜・咽頭粘膜・口唇に炎症が現れ、赤色や乳白色に腫れます。 |
梅毒性脱毛 |
頭髪や眉毛が抜け落ちます。広範囲に脱毛する場合や、まだらに脱毛する場合があり、まつ毛が抜けることもあります。 |
梅毒性アンギーナ |
のどの奥や扁桃を中心として、赤み・はれ・ふやけるなどの炎症が生じます。 |
第3期梅毒(感染から約3年以上)
梅毒の第3期の症状は下記の通りです。感染より3年以上経ってから症状が見られます。しかし現在では、これらの症状が現れることはほとんどありません。
ゴム腫(しゅ)・結節性梅毒疹 |
筋肉・骨・皮下組織に、硬くて大きいしこりができます。ゴム腫は組織を破壊しますが、鼻の骨が破壊され鼻の形が崩れるため「梅毒になると鼻が落ちる」と言われてきました。 |
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第4期梅毒(末期症状)
梅毒を放置していると、命の危険に関わる重大な病気に進行します。脳・心臓・血管・神経・目などが侵され、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)形成及び破裂・進行麻痺・痴呆(ちほう)精神障害などを発症します。病気が進むと、日常生活に支障をきたし、死に至るケースもあります。しかし、検査・治療の進歩に伴い、近年では第3期や第4期の症状が見られることはほとんどなくなりました。
梅毒の治療方法
梅毒の進行具合に応じて、2〜12週間ほどペニシリン系の抗菌薬(抗生物質)を使用して治療します。(ペニシリン系製剤のアレルギーがある場合、ミノサイクリンなどの抗菌剤を用います)治療期間の目安は下記の通りです。
- 第1期梅毒:2~4週間
- 第2期梅毒:4~8週間
- 第3期梅毒以上:8~12週間
内服薬で治療する場合、検査を定期的に受けていただき、完治しているかを確認します。なお、薬の服用から24時間以内に、10%~35%の方は発熱・頭痛・悪寒・全身の倦怠感・皮疹が生じることがありますが、自然に改善していきます。このことを「ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応」と言いますが、薬(抗生剤)を服用することで、梅毒の菌体が大量に破壊されたときに生じる物質が原因と言われています。上記のような症状が出た場合は、市販の解熱鎮痛剤を併用していただいても問題ございません。
梅毒の検査方法・費用
梅毒検査 | 2,310円(税込) 即日検査+3,100円 |
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梅毒は血液検査によって調べることができます。その際には、RPR法・TPHA法を組み合わせます。感染の機会から1ヵ月以降で血液検査は可能です。3ヵ月経過してから陰性が出れば、感染していないといえます。(当クリニックでは、男性の検査は承っておりません。症状がある場合には、お近くの泌尿器科・性病科を受診してください。)
梅毒のよくあるご質問
- 梅毒の検査や治療は保険適用ですか?
- A.梅毒の症状が見られる場合には、保険適用となります。しかし、ブライダルチェックや定期的な検査の場合は、全額自己負担です。
- 梅毒の検査キットはありますか?
- A.梅毒の検査キットは、通販などでも購入可能です。ただし、検査キットはご自身での採血が必要なため、正確な検査ができない可能性があります。そのため、梅毒の症状が見られる場合には、病院で検査を受けることをおすすめします。
- 梅毒感染の心当たりがないです。日常生活での感染経路を教えてください。
- A.梅毒の主な感染経路は、性行為・オーラルセックス・キスなどです。日常生活を送るだけでは感染しないため、ご家族にうつることもありません。
- 梅毒の治療は薬局などの市販薬でできますか?
- A.梅毒はドラッグストアなどの市販薬では治療ができません。梅毒の症状が現れている場合には、早急に医療機関を受診しましょう。
- 梅毒は放置しても自然治癒しますか?
- A.梅毒を治療せずに放置していても、自然治癒することはありません。必ず医療機関で治療を受けてください。
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2024/12/1
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