PMSの症状と対策
(生理前に37度の微熱・眠気・腹痛等)
生理前になるとなんだか体調が優れないという方や、生理前はついイライラしてしまうという方も多いのではないでしょうか?生理前に起こるこれらの身体的・精神的症状に悩まされている女性は少なくありません。つらい症状があるにも関わらず、毎月なんとなく頑張って乗り切っている方も多いでしょう。その不快な症状はPMSかもしれません。
「PMSの名前は聞くけど、よくわからない」
「PMSかもしれないけど、どうすればいいの?」
このようなお悩みを解消するために、ここではPMSの概要から生理前症状のチェックリスト、よく起こりがちなPMSの症状と治療方法、さらには見逃せない妊娠初期症状との違いに至るまで、わかりやすくご説明していきます。
監修医師
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PMS(月経前症候群)とは?
症状はいつから?
日本産科婦人科学会によると「PMS(premenstrual syndrome)」とは、
「月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するもの」 引用:日本産科婦人科学会|月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)
となっています。つまり、PMSは生理の3~10日前から症状が起こり、生理の開始とともにそれらの症状が軽快・消失するもののようです。では、PMSの原因とはなんなのでしょうか?前述の日本産科婦人科学会は、この原因について以下のように述べています。
「排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されますが、その後半に両ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響も受けるため、PMSは女性ホルモンの低下以外にも多くの要因から起こるといわれています。」 引用:日本産科婦人科学会|月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)
さまざまなつらい症状を引き起こすPMSの原因は、未だはっきりわかっていませんが、女性ホルモンの変動が大きく関わっており、ストレスを含む多くの要因が複雑に絡み合っているということなのでしょう。
生理前症状チェックリスト12項目
- □イライラして情緒不安定になる
- □過眠や不眠などの睡眠障害がある
- □下腹部に痛みがある
- □頭痛やめまいがある
- □胸の張りや痛みがある
- □関節痛や筋肉痛がある
- □むくみや体重増加がある
- □過食気味になる
- □疲れやすく、気力がない
- □集中力が低下する
- □自分をうまくコントロールできない
- □ニキビや肌荒れが気になる
PMSを見極める目安は、生理前にどんな症状が出て、日常生活にどれだけ影響を及ぼしているかという点です。上記のチェックリストの項目が当てはまれば当てはまるほど、PMSの可能性が高いということになります。簡単なセルフチェックですが、一つの目安になります。ぜひ、ご自身で行ってみてください。
生理前の症状
~体温・眠気・痛み・食欲などの変化~
生理前に起こる身体的・精神的症状の代表的なものをピックアップしました。それぞれの症状がどうして起こるのか、その点に注目して見ていきましょう。
生理前に体温が37度!?微熱がある
この図は、女性の基礎体温を表しているグラフです。これを見ていただければわかるように、排卵日を堺にして黄体期にあたる高温期が14日程度続きます。この高温期の体温は個人差もありますが、37℃近くになることもあり、生理前は微熱があると感じるケースも多いようです。
黄体期(高温期)には、黄体ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌され、その働きによって体温が上昇するのです。低温期に比べると0.3~0.6℃くらい基礎体温が上昇するので、「からだが熱い」「微熱がある」と感じる方が多いといえるでしょう。生理(月経期)になると体温は下がります。
「眠い…だるい…」眠気やだるさがある
生理前の眠気やだるさの原因は、体温の上昇です。プロゲステロンにより高くなった体温は、基礎体温を上昇させるものの、一日の中で変化を起こしにくくします。体温は一日の中で変化し、特に眠っているときの体温は低くなるのですが、黄体期は眠っているときでもあまり変化せず、体温は高いままです。睡眠の質は体温が低いと向上する傾向にあるので、黄体期の睡眠の質はあまり良いとはいえない状態に陥ります。こうして、夜間の眠りが浅くなってしまい、日中に眠く・だるくなるという現象が起こるのです。
「生理痛じゃないのに…」腹痛がある
生理のときに下腹部痛があることはよく知られていますが、生理前にも腹痛が起こることがあります。これには、プロスタグランジンという物質が大きく影響しているのです。プロスタグランジンは子宮の収縮を起こす他に、痛みや炎症を起こす物質としても知られています。
生理前には子宮内膜でプロスタグランジンが多く作られるようになり、このプロスタグランジンによって腹痛や腰痛が起こるとされているのです。
「生理前は頭が痛い…」頭痛に悩まされる
生理前の痛みとして、頭痛も挙げられます。頭痛には、黄体期に急激に減少するエストロゲン(卵胞ホルモン)が影響しています。黄体期はエストロゲンが減少して、プロゲステロンが増加するのですが、エストロゲンが減少するとセロトニンという物質も減少します。
セロトニンは血管を収縮する作用がある脳内物質なので、セロトニンが減少すると脳内血管が拡張し、頭痛が起きてしまいやすくなります。この頭痛は、症状が長く続き、痛みも強い傾向にあります
「気持ち悪い…」生理前に吐き気がある
生理前に気持ち悪くなり、吐き気をもよおす方もいます。この吐き気の原因も、プロスタグランジンの分泌によるものとされています。プロスタグランジンが子宮を収縮させる働きがあることは、ご説明しましたが、このプロスタグランジンの過剰な分泌は、他の臓器にも影響を及ぼしてしまい、筋肉までも収縮させます。その結果、胃や腸が締め付けられることになり、吐き気が起こってしまうのです。
「甘いものが食べたい」食欲の増進がある
生理前に食欲が増進するのは、プロゲステロンが原因です。プロゲステロンが増加すると、体内で血糖を下げるホルモン(インスリン)が効きにくくなりなり、血糖値が上がりやすくなります。血糖値が上がりやすくなると、すい臓からインスリンが大量に分泌されて、血糖値が急激に下がることもあります。そして、血糖値が下がると空腹を感じてしまいます。これが、生理前の食欲の増進に繋がっているのです。
「生理前は太る」体重増加やむくみがある
生理前に体重が1~2キロ増えるのは、珍しくないことです。この体重増加にも、プロゲステロンが関わっています。プロゲステロンには、体内(皮下細胞)に水分を貯留させる働きがあり、これによりむくみが起こります。つまり、体重増加の原因は主に水分なのです。さらに、先程ご説明したプロゲステロンによる食欲増進効果が相まって、さらに体重を増加しやすくさせます。また、プロゲステロンは腸の働きを弱める作用もあるため、便秘になりやすくなり、このことも体重増加につながっているかもしれません。生理前の女性のからだは、太りやすい要因がいくつも重なっているのです。
おりものが黃・白・茶?色と臭いの変化
おりものも生理周期によって変化しています。黄体期には少なくなっていたおりものは、生理前になると再び増加していきます。性状は、白く濁り、粘度も高い状態となり、ニオイは強くなる傾向にあります。この時期のおりものがショーツなどに付くと、若干黄色っぽく見えることもあり、「なんだか黄色い」と心配される方も多くなっているのです。
気になる色の詳細ですが、生理前とはいえ、わずかに経血が混ざり茶色に見えることもあります。さらに生理が近づく数日前は、経血が混ざってピンク色に見えることもあります。つまり、生理前のおりものは量が多くなり、ニオイも強くなる傾向にあって、色は時期によって白、黃、茶、ピンクなどに変化するといえるでしょう。
「イライラで彼氏にあたる」情緒不安定になる
情緒不安定で起こる気分の落ち込みやイライラも、女性ホルモンの変化が関与していると考えられます。女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの増減によって、心身にさまざまな症状が現れてきます。さらにエストロゲンの減少に伴うセロトニンの分泌低下も、情緒不安定に関係がありそうです。セロトニンについて、厚生労働省のHPでは下記のように説明しています。
「脳内の神経伝達物質のひとつで、(中略)他の神経伝達物質であるドパミン(喜び、快楽など)やノルアドレナリン(恐怖、驚きなど)などの情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。セロトニンが低下すると、これら2つのコントロールが不安定になりバランスを崩すことで、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック障害などの精神症状を引き起こすといわれています。」 引用:厚生労働省|e-ヘルスネット セロトニン(せろとにん)
生理前の精神的不安定さには、エストロゲンとセロトニンのバランスが関連しているといえそうです。
「胸が張る…痛い!」胸の張りに伴う痛み
生理前の胸の張りにも、女性ホルモンのプロゲステロンが関係しています。プロゲステロンが増加すると、乳房の血流が増え、乳腺組織が活発化するため、胸が張る・痛いなどの症状が起こります。妊娠していないのに、胸の張りがあるのは生理前のサインでもあり、胸の張りを感じた数日後に生理が訪れることが多いのはこのためです。
妊娠初期症状と生理前の違いとは?
妊娠初期症状と生理前の症状は、とてもよく似ています。このことから、生理前の症状なのに、「妊娠したかも……、どうしよう!?」と勘違いするケースもよくあることです。妊娠初期症状と生理前の症状はどんな点が似ているのでしょうか。
共通する症状 | 頭痛・腹痛・便秘・胸のハリ・眠気・だるさ・イライラ・不安感など |
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上記の症状は両者に共通して起こるもの。では、どこが違うのかというと、それは体温です。体温に関しては、妊娠していると生理予定日が来ても下がることはなく、高温を保ち続けます。一方の生理前では生理になる日にはガクンと体温は低下し、低温期に突入します。
図を見ていただいても、おわかりいただけるように、妊娠すると生理予定日にも体温は下がることなく、高温期が続くということになります。
PMSを治療するには?
多くの症状が現れるPMS。これらのつらい症状を治療する方法はあるのでしょうか?ここからはPMSの治療についてご説明していきます。
薬を使用する方法
薬を使用してPMSを治療する方法があります。3パターンあるので一つずつ見ていきましょう。
排卵抑制療法
PMSの原因は排卵が起こって、女性ホルモンが大きく変動することです。それならば、排卵を一時的に止めて、女性ホルモンの変動をなくすことが求められます。そこで使用されるのが、低用量ピルです。この低用量ピルのメリットはというと、中用量ピルに比べ副作用が少なくすむことと、内服期間中にだけ排卵をストップさせられること。一方、内服をやめると排卵が再び起こり始め、その後の妊娠・出産に影響を残さないことです。その後の妊娠は望むけど、今はPMSを改善したいという方にも安心して内服していただけます。
漢方療法
漢方療法は、その方の症状や体質に合わせて、起こっている複数の症状を同時に改善しつつ、心身のバランスを整えられることが特徴です。PMSでも漢方療法はよく行われている治療法として知られています。日本産科婦人科学会のページでも、下記の漢方薬が使用されていることが明記されているほどです。
「当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、桃核承気湯、女神散、抑肝散などがよく選択されています。」 引用:日本産科婦人科学会|月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)
対症療法
対症療法とは、起こっている症状に応じて薬剤を用い、症状を改善させることです。腹痛・頭痛などの痛みには鎮痛剤、精神症状や自律神経症状には精神安定剤や自律神経調整剤を使用します。早くつらい症状を緩和・改善させるには、この対症療法が効果的ですが、効き目が十分でないときには、上記の漢方療法や排卵抑制療法が必要となります。
薬を用いない方法
薬を用いない方法として、セルフケアを探すことを日本産科婦人科学会は推奨しています。それにはまず、症状日記をつけて病状を理解し、把握することが重要です。さまざまなPMS症状と向き合うためにも、ご自分のリズムを知ることが大切なのです。上手に気分転換やリラックスできる時間・空間を作るのもセルフケア。また、カルシウムやマグネシウム、ビタミンB6、ビタミンEなどの栄養素を積極的に摂取することも良いとされています。不足しがちな栄養素を摂取すると症状の改善につながるからです。その反対に、カフェインやアルコール類の摂取は控えた方がいいとされており、喫煙も避けた方が無難とされています。
さらに、症状があまりにも重いケースでは、仕事の負担のセーブも効果的です。身体的・肉体的ストレスをなるべくかけないことが症状緩和につながります。
PMSレス注射をご存じですか?
心斎橋駅前婦人科クリニックでは、PMSレス注射をご用意しております。PMSレス注射は、生理前に不足しがちな栄養素や身体には欠かせない必須アミノ酸を積極的に補ってあげることで、症状を緩和・改善させることが目的です。PMS症状がつらい、PMS期を少しでも楽に乗り越えたいという方には、最適な注射となっております。
PMSにお悩みの方は、ぜひお気軽に心斎橋駅前婦人科クリニックに、お問い合わせ・ご相談ください。
あわせて知りたい
月経前不快気分障害(PMDD)
PMSの認知度は高くなってきましたが、月経前不快気分障害(PMDD)はあまり知られていません。PMDDは、PMSの中でも精神的症状の度合いが重く、日常生活に支障をきたすほどの状態を指します。精神疾患の新しい診断基準であるDSM-5でも、抑うつ障害群にカテゴリーされるほどです。
このPMDDはPMSに比べると、患者さんの数は少なくなりますが、日常生活に支障が出るほどの症状があることから、治療は積極的に受けた方がよく、医師の判断を早く仰ぐべき疾患といえるでしょう。治療薬には、SSRI(選択的セロトニン再取り込阻害薬)といった比較的安全性の高い抗うつ薬などが必要となることもあります。
つらい生理前症状は早めにご相談を
ここまで読んでいただき、「わたしはPMSかも?」「症状が当てはまる」という方はぜひ一度、心斎橋駅前婦人科にご相談ください。つらい症状は生理前の数日間ということもあり、我慢してしまう方も多いのが実情です。しかし、PMSのせいで1ヵ月に一度、つらい症状があるということは、年間にするとおよそ100~120日もつらい日々を過ごしているということになります。
生活の質(QOL)を向上させるためにも、PMSに向き合い、症状の緩和を目指してみませんか?心斎橋駅前婦人科クリニックは、そんな女性の皆さまに寄り添った医療をご提供いたします。お気軽に、お問い合わせ・ご相談ください。
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生理前についてよくあるご質問
- PMSは治療した方がいいのですか?
- A.はい。PMSはさまざまな症状を引き起こし、患者さんの生活に悪影響を及ぼします。よりより生活を送るためにも、治療をおすすめします。治療には薬物療法の他にも、患者さんが生活の中でできる工夫がいろいろあります。専門家である医師に相談し、ご自分に最適な治療法を実践していくことをおすすめします。また、心斎橋駅前婦人科クリニックでは、PMSレス注射もご用意しております。ぜひお気軽にご相談ください。
- PMS症状はサプリメントだけで治りますか?
- A.いいえ。多くのPMS症状の多くは、サプリメントだけでは完全にはなくなりません。しかし、症状の緩和が見込めると期待される栄養素(サプリメント)も一部ありますので、各種治療に加え、医師の指示のもと、体質や症状に合わせた栄養素を取ることが大切と考えます。お気軽に、当クリニックまでご相談ください。
- 生理前症状と妊娠症状を間違えることはありますか?
- A.はい。生理前症状と妊娠初期症状はとても似通っていることから、間違えてしまう方もいらっしゃいます。生理前の症状が続くと思っていたら、実は妊娠だったという方もいらっしゃるほどです。生理前の症状か、妊娠初期症状か迷った場合は、妊娠検査薬を利用してみるのも一つの手段。妊娠検査薬の適切な使用時期は、生理予定日1週間後以降です。もし、不安なことがございましたら、ためらわず当クリニックにご相談ください。
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お知らせ
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2024/10/31
休診曜日は火曜です。 臨時休診は11月21日・12月30日・12月31日・12月19日・1月1日・1月2日・1月3日です。 ※しばらくの間、火曜日は休診いたします。(お電話は承ります)
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2024/4/1
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