子宮外妊娠かも?痛みなどの症状や
その原因、発生確率について
一般に「子宮外妊娠」とも呼ばれる異所性妊娠(いしょせいにんしん)は、妊娠した女性の100人に1人の割合で発生するといわれており、決して珍しくない疾患です。
そのままにしておくと、母体の命にもかかわる危険な妊娠ですが、最初は自覚症状がないことも珍しくありません。そのため、わずかな異変でも、子宮外妊娠が疑われる症状があった場合は、すみやかに婦人科を始めとした医療機関に相談することが大切です。
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子宮外妊娠(異所性妊娠)とは
子宮外妊娠とは、精子と卵子が融合した受精卵が、子宮内膜ではない場所に着床する、「異常妊娠」です。日本では子宮内・子宮外を問わず、正常な子宮内膜以外で着床することを「異所性妊娠」と呼びます。その異所性妊娠の中で、もっとも多いものが、子宮外妊娠です。
死亡例も。子宮外妊娠の危険性
卵管流産や卵管破裂を引き起こす子宮外妊娠は、妊娠に関連した「死亡」事例の約1割を占めています。卵管が破裂すると、急激な下腹部痛が起こり、大量の出血により、ショック死してしまう危険性もあるのです。
命にかかわる子宮外妊娠は、前もって予防することが難しい疾患です。そのため、何よりも早期発見が重要となります。
子宮外妊娠と早期流産の違い
妊娠検査薬などで妊娠反応が確認されているにもかかわらず、子宮内に胎児を包む袋(胎嚢/たいのう)が確認できない場合、子宮外妊娠が疑われます。しかし、妊娠週数が早すぎると胎嚢が見えないことがあるほか、早期流産の可能性もあるため、子宮外妊娠との判別が難しくなっています。
このような場合は、数日から1週間を目途に再検査を行います。ただし、この間に腹痛や出血があった際には、すぐに医療機関にご相談ください。
子宮外妊娠と体外受精の違い
「体外受精」とは、受精を体外で行ったのち、子宮内膜で着床させる不妊治療法の一つです。体外と聞くと子宮外妊娠との関連もイメージするかもしれませんが、疾患である子宮外妊娠とは異なり、体外受精は不妊治療の一環として行われる計画的な医療行為です。
子宮外妊娠の原因は?
子宮外妊娠の多くは、受精卵が子宮内膜に届かず、卵管内で着床する「卵管妊娠」です。
卵管妊娠の原因は、何らかの理由で卵管が狭くなっていることが考えられます。しかしはっきりとした原因については、現在も不明なことが多いのが実情です。
子宮外妊娠を起こしやすい危険因子
子宮外妊娠のリスクを高めるものとしては、以下のものが挙げられます
- ・子宮外妊娠(異所性妊娠)
- ・子宮内避妊具
- ・子宮手術時の傷跡
- ・体外受精
クラミジア・淋菌感染症などの性感染症に感染し、卵管が炎症を起こすと、卵管が狭くなったり癒着(ゆちゃく)したりして、受精卵が通りにくくなってしまいます。また子宮内避妊具も受精卵の子宮内膜への着床を阻害するため、子宮外妊娠の原因となる可能性があります。
さらに中絶手術や帝王切開など、子宮手術時の傷跡が残っている場合、そこに受精卵が落ちてそのまま着床するケースもあります。また体外受精の場合、受精卵の着床タイミングが合わないリスクが、自然妊娠と比べて若干高まります。
ただ、子宮外妊娠はこれら以外にもさまざまな要因で引き起こされると考えられています。そのため子宮外妊娠の具体的な予防法も、現時点ではありません。
子宮外妊娠になる確率
子宮外妊娠となる確率は、全ての妊娠の中でおおよそ1%程度、100人に1人くらいの確率だといわれています。そのうち、子宮ではなく卵管に着床する「卵管妊娠」が、子宮外妊娠の90%以上を占めています。
子宮外妊娠の兆候と症状
子宮外妊娠は、急な痛みや出血のほか、妊娠の初期症状、月経不順などの症状が現れます。ただし、いずれも子宮外妊娠特有の症状だとはいえず、自覚症状がないことも珍しくないため、検査をせずに子宮外妊娠だと判断することは、医師であってもできません。
痛み・出血・つわりもある子宮外妊娠
卵管に着床する子宮外妊娠は、卵管が破裂し出血を起こすため、下腹部に強烈な痛みが生じたり、出血したりすることがあります。しかし、生理中でも下腹部に痛みを感じる人が多数いることはもちろん、ほかの理由で不正出血を起こしている可能性もあるため、これだけでは子宮外妊娠と判断することはできません。
また子宮外妊娠であっても、つわりが起こることがあります。そのため妊娠の初期症状だと思う方も少なくないのです。
生理が来たのに子宮外妊娠?
子宮外妊娠では、「生理があったのに子宮外妊娠と診断された」と驚く方も少なくありません。しかしその場合も、卵管からの出血を、生理の経血だと自己判断してしまうケースほとんどです。
普段から生理不順を起こしがちだったり、不正出血があっても病院に相談に行かなかったりすると、子宮外妊娠に限らず、思わぬ病気・疾患を見過ごしてしまう恐れがあります。少しでも違和感を覚えたら、「よくあること」などと自分で判断したりせず、婦人科などの医療機関に相談するようにしましょう。
子宮外妊娠でも妊娠検査薬は陽性
子宮外妊娠でも、女性の生理は止まりますし、妊娠検査薬で陽性(妊娠)判定が出ます。妊娠検査薬は、正常の妊娠と子宮外妊娠の区別なく陽性判定を示すため、これだけで子宮外妊娠かどうかを判断することはできません。
子宮外妊娠だとわかるのはいつ?
子宮外妊娠は、妊娠検査薬や自覚症状だけで判断することはできません。医療機関でエコー検査を行って胎嚢(たいのう)の有無を確認し、そのうえでさらに早期流産なのか子宮外妊娠なのかを医師が診断して、初めて確認できます。
子宮外妊娠は、早期発見と早期治療が大切です。ほかの病気の予防も含め、婦人科で定期健診を受けるようにしましょう。
子宮外妊娠を放置するとどうなる?
子宮外妊娠を治療しないままでいると、母体の命にかかわる重大な症状を引きおこす危険があります。本来胎嚢(たいのう)内で育つ受精卵が、卵管内で成長しようとすると、周囲の組織を破壊し、血管も傷つけてしまうのです。
子宮外妊娠が進んで卵管の血管が破裂すると、大量に出血しショック死する可能性があります。実際、国内でも子宮外妊娠による死亡事例は現在も発生しています。
子宮外妊娠の検査方法
まず、正常の妊娠か子宮外妊娠かを問わず、妊娠の兆候がある場合には、超音波検査で子宮内に胎嚢(たいのう)があるかを確認します。この段階で胎嚢が見え、心拍も確認されれば、正常な妊娠と判断されます。
超音波検査で胎嚢が見つからない場合は、子宮外妊娠の可能性を疑います。その場合は血液検査などで、妊娠ホルモンの値を調べます。
妊娠週数が早すぎると確認できない場合も
妊娠週数が早すぎる場合は、超音波検査で胎嚢が確認できないことがあります。このような場合は、数日から1週間程度を目途に、後日改めて超音波検査を行います。
ただ、再検査を待つ間、夜間や休日に、強い痛みや出血などがあった際には、すぐに救急車要請や救急受診をするようにしてください。
手術が必須?子宮外妊娠の治療方法
子宮外妊娠と診断された場合、その治療方法は大きく2つに分かれます。
- ・手術
- ・薬物治療(注射薬)
治療方法は妊娠週数や胎児の大きさ、ご本人の今後の妊娠希望などを慎重に検討したうえで判断します。
手術の場合は開腹手術か腹腔鏡手術
手術の場合は、下記2つの方法があります。
- ・開腹手術:腹部をメスで切開して手術を行う
- ・腹腔鏡手術:腹部に複数の小さな孔をあけ、内視鏡で手術を行う
手術では、子宮の一部分だけ切除したのち、子宮の形を修復することがほとんどです。
症状に応じ薬での治療(MTX療法)も
妊娠初期の子宮外妊娠である場合には、薬物治療を行う場合もあります。薬物治療は手術による身体的負担を減らし、子宮の全摘出といったリスクを避けられるというメリットがあります。
ただし、薬物治療の効果が出ず、結果手術を行わなければならない可能性もあります。さらに子宮外妊娠の薬物治療は、保険適用外となります。
子宮外妊娠の手術費用
子宮外妊娠の手術には、保険が適用されます。そのため自己負担は約3割程度で済みます。自己負担額は手術の内容によって異なりますが、開腹手術の場合はおおよそ10万円程度、腹腔鏡手術場合は20万円程度となります。
子宮外妊娠は再発しやすい?
一度子宮外妊娠を経験すると、それ以降も子宮外妊娠を再発する確率が高くなります。再発率は10%程度だといわれています。
子宮外妊娠で出産は可能?
残念ながら、子宮外妊娠で妊娠を継続し、出産することはできません。出産するには、胎嚢(たいのう)内で胎児が成長していくことが不可欠ですが、子宮外妊娠では胎嚢ができないため、胎児は正常に成長することはできません。
妊娠の継続が難しい場合は
子宮外妊娠に限らず、身体的・経済的理由など、さまざまな事情から妊娠・出産が難しいケースがあります。
妊娠の継続が難しい場合は、一刻も早く婦人科をはじめとする医療機関に相談することが大切です。正常妊娠での人工妊娠中絶を行う場合は、初期中絶ならメスを使わずに、痛みや身体的負担も少ない「吸引法」で初期中絶を行えるからです。
心斎橋駅前婦人科クリニックでは、妊娠12週未満(11週6日以下)の初期中絶手術を吸引法で承っております。吸引法は、WHO世界保健機構や世界産婦人科連合でも推奨される安全な手術方法です。当院では、身体的なケアはもちろん、患者様のご希望に寄り添った親身な対応を心がけておりますので、妊娠についてご不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
妊娠が判明したらすぐに週数確認を!
子宮外妊娠は、母体の命にかかわる大変危険な疾患です。だからこそ、子宮外妊娠では早期発見と早期治療が何よりも大切です。
早期発見には、妊娠週数の確認が不可欠です。妊娠週数は、直近最後の月経開始日から7日ごとに1週、2週と計算していきます。
妊娠週数が進んでしまうと、子宮外妊娠の治療や中絶手術を問わず、母体に大きな負担がかかるため、普段から生理周期をきちんと把握しておきましょう。
また性行為時にコンドームを着用していても、誤った使い方をしていれば妊娠する可能性があります。生理がいつもより1週間以上遅れていたり、基礎体温が高かったりするなど、妊娠の初期症状と思しき兆候がある場合は、まずは一度、婦人科をはじめとする医療機関に相談してください。
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子宮外妊娠・中絶に関するよくあるご質問
- 妊娠検査キットで陽性反応が出たのですが、腹部に強い痛みを感じます。これは子宮外妊娠でしょうか?
- A.市販の検査キットや自覚症状だけで子宮外妊娠と判断することはできません。婦人科などの医療機関で医師による診断と検査を受けてください。
- 子宮外妊娠になると、その後に妊娠しやすくなると聞きました。本当でしょうか?
- A.いいえ。子宮外妊娠になると、その後妊娠しやすくなるという医学的な根拠はありません。
- 子宮外妊娠の手術後に、性行為や妊娠は可能ですか?
- A.はい。手術後も性行為が可能ですし、卵管の状態が悪くなければ自然妊娠できます。仮に卵管の状態が悪くても、体外受精で妊娠することも可能です。
- 現在妊娠10週目ですが、中絶するか悩んでいます。妊娠中期に入っても中絶は可能ですか?
- A.妊娠中期でも中絶は可能です。ただし、手術による身体的負担が大きくなります。さらに法律上「死産届」を自治体に提出したうえで、火葬・埋葬を行う必要があるため、精神的負担も倍増します。妊娠でお悩みの際は、妊娠初期の段階で医療機関に相談することを強くお勧めします。心斎橋駅前婦人科クリニックでは、患者様のご希望・お悩みに親身になってサポートいたしますので、ぜひ一度当クリニックまでご相談ください。
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2024/10/31
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